全宇宙に野球を普及させる願いを込めてボールとバットとキャッチャーミットが宇宙に打ち上げられた。
しかし、その3つはバラバラになり、ミットだけが善人星人に拾われた。善人星人は、ミットが有機素材で作られていることを発見して、もとは生き物だと考えて復元した。
意思があり、生きているミットが誕生した。ミットに付けられていた野球用語表もボロボロで「盗塁」という言葉しか残っていなかった。
「そうか、オレは塁を盗むために作られたのか」と考えたミットは宇宙海賊になることを決意した。
宇宙海賊に怯えた善人星人は土塁を作って侵入を防いだ。
それを見たミットは土塁だけ盗んで立ち去った。
「盗塁成功」
(遠野秋彦・作 ©2023 TOHNO, Akihiko)